NO.18 「親友」 |
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社会福祉法人 名古屋ライトハウス 理事長 岩山光男 (大7期 教育) 昭和29年の4月、盲学校から初めて晴眼社会に身を置いた27歳の初年兵は、かすかな狼狽と不安にうろたえた。教育学科に籍を置き、卒業後は母校の教師になることを目指していた。 同級生との間には9歳の隔たりが有ったが、未成熟な私にはそのことから来る違和感は全くなかった。今にして思えば、私にとって大学生活はかなり遅蒔きの青春だった。4年間机を並べ、カトリック思想研究室で昼飯を共にした10人近い友人達との交際は、年を重ねる毎にむしろその深みを増し、卒業後40余年を経た今日では、彼らを抜きにした私の人生なんてとうてい考えられないまでになって来ている。 大学を出てからは視覚障害者のための図書館事業に手を染め、爾来40年間、ただひたすらにその道を歩き続けてきた。大学生だった頃、私の点字テキストづくりに膨大な時間と労力を惜しみなく提供してくれた親友達の友情、この友情をただ一つの頼りとして私は無事学士号をいただくことができた。点字図書館事業推進に当たって、社会の各方面から寄せられた愛と善意は、まさに私と図書館を支える全てであった。親友とボランティアの真心にしっかりと抱かれた私の人生は「幸せ」そのものだった。目が見えないことは不自由であり不便ではあるが、決して不幸につながるものではない、という若い頃からの思いに誤りはなかった。 昨年11月15日、黄綬褒章受賞の栄に浴した。私をこの高みにまで導いて下さった親友達、ボランティアの皆様の業績にこそ本当は捧げられるべき栄誉だと、私は今でもそう思わずにはいられない。 |